「発達障がい心理検査」について

 この度、当相談室では「発達障がい心理検査セット」を始めました。これを始めることになった私たちの考えをを少しご説明できればと思います。

 

 かれこれここ10年以上となるでしょうか。「発達障がい」という言葉が社会的に流布し、その具体的特徴も様々な資料から目にする機会も増えました。それに伴って、ご自身の苦しさ、上手くいかなさ、生きにくさは、発達障がいのためなのではないか、とのご相談を多く受けるようになりました。そして、多くのものの本には、発達障がいが心理検査によって判断されるとも書かれているために、その依頼も多く受けます。多くの人に知られることで、社会制度が整備され、理解が増し、サポート機関も大変増えました。これは大変喜ばしいことです。一方、あまりにも流布している発達障がい、そして心理検査が、やや一人歩きしてしまっている懸念も感じています。

 発達障がい、いわゆるAD/HD、自閉症スペクトラム症、LDなどですが、その表れ方、困り方、は千差万別です。元来のその方の資質と、これまでの環境、関わり、そして特性とが複雑に織り重なり現在のその人があるのです。その方自身、そしてその方が固有に抱えている独自の痛み、悩み、困惑、不安を少しでも理解し、それを抱えつつも、これまでよりはちょっとやりやすくなったり、楽になったり、補ったりということをどのようにやっていけるか。私たちはそれを共にに考え、試行錯誤していくために心理検査という一つの道具を使う、という考えのもとにこの「発達障がい心理検査セット」を始めることにしました。実施する検査は、それぞれの方のニーズを丁寧に伺い、それに適したものをご説明し、ご納得頂いた上で実施致します。検査は結果が重要なのではなく、結果からどのように考えて、その結果をどう今後に利用していくかが重要です。心理検査を通して、これまでなかなか伝わらなかったご自身の苦悩を共有し、共にこれからのあり方を考えていくことを目的としています。

 心理検査は保険診療内でも実施することができるにも関わらず、こちらでの検査は自費であり大変高額となっています。ご依頼される方のニーズを詳しく伺い、ニーズに応じたご対応に最善を尽くしたいと思っています。そして、その方の全体像を理解した上で、今後について考えていく、検査結果のみで終わらないものをご提供致します。検査者は全て経験年数15年~20年の臨床心理士です。また、子どもから成人までの発達障がいに関する心理検査、カウンセリングについて豊富な知識と経験をもっています。

 以上のような考えのもとに行っております。疑問、不明な点など、どのようなことでも、どうぞご遠慮なくお問い合わせ下さい。ニーズを把握するための皆様の疑問の声を大切なものと思っております。