オンラインカウンセリング or 対面カウンセリング?

 当相談室でもオンラインカウンセリングを3月から始めていますが、新規で申し込むいただく方のほぼ9割は直接来室してのカウンセリングをご希望されます。この状況下、世の中では急激にオンラインでの関わりが増加しました。そのようななかで、カウンセリングは圧倒的に直接会うことを望まれる方が多いというのは、一考にあたいするとても興味深いことです。もちろん、これには物理的理由も大いに影響があるでしょう。ご家族と住んでいる方にとって、自宅からカウンセリングをするというのは、様々なハードルがあります。Wi-Fi環境のせいかもしれません。

 一方で、そこに私達が自然にコミュニケーションに求めているもの、必要としているものが見えてくるようにも思うのです。相談室に来られる方は、当然ご自身の悩み、苦しみがちゃんと伝わるか、理解されるか、そしてご自分にとって役に立つものになるか、そのような思いでいらっしゃると思います。ちゃんと伝わっているのか、それを相手がどう受け取っているのか、私たちはおそらく言葉以外の、例えば間合いや姿勢、ちょっとした体の動き,声音、視線、などなど、実は多くの情報から自然に判断しているのでしょう。私達は自覚しなくとも、そのようなことを経験から知っているので、人に大事なことを伝えるカウンセリングでは、対面を選ぶことが多いのかもしれません。

 オンラインの絶大な便利さもあります。とにかく距離を超越することができます。県外の方も、海外の方とも気軽に繋がることができます。本当に画期的なことです。そして距離や、時間を超えて、また体調が悪く身体的に移動が困難な時などにも会う時間を持つことを可能にしてくれました。そして、相談室ではzoomを使っているので、互いに顔が見れる。これはオンラインといえども、かなりの情報量を与えてくれるものです。

私は、長く直接お会いしてる方と一時的にオンラインにした経験と、初回からオンラインで始まったカウンセリングとどちらも経験しています。

 対面とオンラインでの関わりと、当然圧倒的に違うのですが、これが言葉にするのはなかなか難しいのです。オンラインというツールは、上に挙げた対面よりも自然に空気が伝えにくい分、互いに言葉によってそれを補うようなコミュニケーションになっている気がします。言葉にならないもの、を画面を通してなんとか伝えるために、やはり言葉で補う部分が必要な気がします。そういった、より言葉依存的である面は手紙とかメールとか電話にも似てもいるのですが、表情や背景が見えるところは全く違います。強いて言うなら、2.5次元的コミュニケーションツールとでも言えるでしょうか。

 新しいツールを手に入れたということは、選択肢が増えたということであり、私たちは判断して決めなければならないことが増えたということでもあります。何事も一長一短です。ご自身にとっての一長一短を吟味して、ご自身に合ったツールを選んで頂ければと思います。そして、どちらが自分に合っているのか、それをご一緒に吟味することから始めることも、大事なことかもしれません。
なにをどう選んだにせよ、それをご自身がどのように経験しているか、それが最も大事なことだと思っています。そしてその経験を共有し、確認できる場としてカウンセリングルームがあるのです。